<講座開設にあたって>

 音響効果は、一般的にサウンドエフェクト(Sound Effect=SE)とよばれ、映画、TV 、舞台、イベント等、音響効果が使用されていないものを探し出すのが難しい程、作品製作において重要な位置を占めています。

 作品のメディア媒体によって実際の音響効果の仕事内容は異なりますが、最終的な仕上がりに関してはどの媒体も、音響効果の必要性とそれによる効果増大の期待度は同じです。すなわち映像であっても舞台であっても、その作品に「音でどの様な効果を聴取者、観客に与えるか」が音響効果の本来の仕事なのです。音響効果技術者は自己満足的自己主張ではなく、あくまでも「作品のそれを見る側への効果を上げる」ことが目的であることを認識し、その為の自己主張が必要です。従って物事を客観的にとらえ、分析し、自分の創造力を第三者に理解、納得させる事が出来る能力が必要になってきます。

 音響効果の仕事が、効果音CDライブラリーから抜き出し、コピーして場面に合わせるという安易な仕事だと考えているならば、それは音響効果ではなく単なる音のはめ込み屋であると言ってもいいでしょう。

 日本における舞台音響効果の歴史は能、歌舞伎の生の音による効果音から、現代のデジタルサウンドの効果音へと発達してきました。従って音響効果技術者はアナログ音響技術はもちろんデジタル技術にも精通しておかなけれななりません。音響効果技術者には音および音空間の創造と音響技術の両面の能力が求められます。

 以上の考え方をもとに、音響効果技術者を目指す方々の為に

 1、人としての一般論
 2、音響技術の基礎
 3、実際の効果音製作、編集、音づけ

までの講座を開設しました。初心者にも簡単な例を示して非常に分かりやすくしていく予定です。まだ少しの講座ですが、順次増えていきますので、ご期待下さい。

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